福島県慰霊碑修復事業支援について

平成23年12月19日

戦史検定協会実行委員長 笹幸恵

福島県慰霊碑修復事業支援について

この度、戦史検定協会(東京都千代田区)は、検定事業収入と一般からの寄付金の合計80万円を東日本大震災で破損した慰霊碑の修復支援のため財団法人福島県遺族会に寄贈いたしました。われわれ戦史検定協会のスタッフは12月12日に福島市堂殿の福島県遺族会事務所を訪ねてこの寄付金を贈呈の後、二本松市内の破損した慰霊碑を視察して地震による損傷を確認しました。その詳細は以下のとおりです。

11月20日、当協会は第二回目となる「戦史検定」を実施いたしました。私共は、かつての激戦地や出征の地などに建立された戦没者慰霊碑の風化や破損を憂い、ご遺族や戦友の方々が安心して慰霊追悼を続けられるよう、事業収入を慰霊碑の保全に充てる目的で本検定を行っています。平成22年11月に実施した第一回戦史検定では、財団法人太平洋戦争戦没者慰霊協会を通じて、事業収入10万円をソロモン諸島国ガダルカナル島のソロモン平和慰霊公苑の慰霊碑の修復と周辺の整備事業の資金に充てていただきました。

今回この慰霊碑保全の趣旨に賛同し、受検くださった方は初級223名、中・上級(同一試験のうち高得点者を上級と認定、上級未満・合格点以上を中級認定)133名で、うち64名が両方の試験を受検しています。この結果、受検料(初級3,800円、中・上級5,500円、両者同時受検の場合は9,000円)収入と寄付金を合わせた収益20万円と、試験後にいただいた個人からの篤志60万円の合計80万円を福島県遺族会に寄贈し、東日本大震災で損傷を受けた慰霊碑の修復に充てていただくことといたしました。

福島県内には、財団法人福島県遺族会(会員数約12,000、以下県遺族会)が把握しているだけで522基の慰霊碑がありますが、その多くが今次東日本大震災で破損しました(正確な数は現在調査中)。県遺族会では50万円以内で修復可能な慰霊碑に限り、その修復費の45%を補助する方針を立てて破損した慰霊碑の原状回復を行っていて、年内に県内の34地区で慰霊碑修復を行う予定です。当協会は、戦史検定による収益により県遺族会の慰霊碑修復に資金協力することで、戦没者慰霊追悼に貢献するとともに、復興に取り組む東北の方々を応援したいと考えております。

このため、実行委員長である私笹幸恵、戦史検定協会事務局長、問題作成担当、慰霊碑調査担当と学生運営委員の計5名で12月12日午後福島県遺族会を訪れ、前述の80万円を同遺族会会長に贈呈いたしました。遺族会事務所には約1時間ほど滞在して戦史検定の結果を報告し、福島県遺族会の現状や遺族会事務局員のご親族戦死の場所などを伺いました。

つづいて二本松市内の安達地方遺族連合会の方々に同地区の慰霊碑をご案内いただき、倒壊した岳下地区の忠魂碑と大山地区忠霊塔の破損状況を確認いたしました。岳下の慰霊碑は戊辰戦争の二本松の戦いの激戦地になった大壇口古戦場の小山の上にあって、付近には会津白虎隊と同じく年少の身で薩長軍と戦った二本松少年隊の慰霊碑もあり、地元の方々には何重にも思い入れの深い土地と感じられました。この見晴しの良い場所に立つ忠魂碑は台座から隣の慰霊碑と共に倒壊して無残に横倒しになっていて胸が痛みます。この山の上は地盤が軟弱で重機を入れることもままならず、この地での再建は難しい見込みです。

一方の大山地区忠霊塔は塔の基部に納骨堂がある珍しい様式で、公園として整備された敷地の中には地区の戦死者115名一人ひとりの顔写真を集めた写真堂が併設されていて地域の方々の慰霊追悼の中心地となっていたのですが、忠霊塔は倒壊した衝撃で中央から折れてしまっています。どちらの慰霊碑も復旧は困難であると遺族連合会からは説明を受けました。

どの地区でも戦没者ご遺族の方々も高齢化し、また代替わりして慰霊碑修復のための資金を集めることが難しく、県遺族会でも前述のとおり部分的に支援するに留まっています。われわれ戦史検定協会からの寄付を修復費用の足しにしていただくと同時に、この活動が呼び水となってさらに多くの支援が全国から寄せられることを願ってやみません。

 

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